Manual / Chapter 3

データ登録(Curation)

論文中のグラフから StarryDigitizer でカーブを抽出し、 組成・作製プロセスを付与して登録する流れを解説します。 ログイン済みユーザーなら誰でも参加できます。

3.1 登録のフロー全体像

登録は以下の 6 ステップで進めます。

  1. 論文を Database / My List に追加(個別 or DOI 一括)
  2. 論文カードの「Data」をクリックして Data ページを開く
  3. 「Edit」をオンにして Figure name と Caption を入力
  4. StarryDigitizer に元プロットの画像を読み込んで軸を校正
  5. サンプル数だけ Dataset を作って点を抽出 → COPY TO CLIPBOARD
  6. XY-value に貼り付け、Sample 情報・物性・単位を入力して Save
Data ページ全景
図 3-1: Data ページのレイアウト。上に Editors 一覧と Figures / Samples テーブル、左下に Figure name / Caption / Sample 情報の入力フォーム、中央に XY-value、右に可視化プロット。

3.2 論文の追加

個別追加

  1. My List を選び、「+ Add paper」または DOI 入力欄を使う。
  2. DOI を入力すると CrossRef から書誌情報(タイトル・著者・誌名・巻号・年・ページ)を自動取得。
  3. 同時に SID(Starrydata ID)がその論文に一意に付与される。以降は SID で参照できる。
  4. 誤りがあれば論文カードの「Bibliographic information」から手動修正。

DOI 一括追加

  1. 左サイドバー下部の「Add papers from DOIs」テキストボックスに、DOI を 1 行 1 件で貼り付け(Excel の列をそのままペースト可)。
  2. Add Papers」をクリック。既存 DOI は My List に追加されるだけ、新規 DOI は CrossRef から書誌取得 + 新規登録 + 新しい SID 付与が行われます。
SID と sample_id の違い: SID論文 ごとの一意 ID(DOI を Add した時点で 1 件付く)。一方、sample_id試料ごとの ID で、1 論文の中に多数発生します。検索フィールドの「SID」は前者を指します。

3.3 Data ページを開く

論文カードの「Data」リンクをクリックすると Data ページが開きます。Data ページの構成は以下のとおりです(図 3-1)。

  • ヘッダ: 論文タイトル、SID、DOI、Figures 数、Samples 数、Original paper / Bibliographic information / Data / Sample Table / Summary など
  • Editors: この論文を編集した Curator の Username 一覧
  • Figures テーブル: Figure ID / Figure name / Property(x), (y) / Unit(x), (y)
  • Samples テーブル: Sample ID / Sample name / Composition
  • 編集フォーム(左下): Figure name / Caption / Sample name / Composition / Property(x), (y) / Unit(x), (y) / Measurement conditions / Comments / Save ボタン
  • XY-value(中央): 抽出した数値を貼り付けるエリア
  • 可視化プロット(右): 登録済み or 入力中のデータを Plotly で表示

3.4 Edit モードと Figure / Sample の作成

右上の「Edit」トグルを ON にすると、フォーム背景が青に変わり編集可能になります。

  1. Figure name: 論文と同じ表記(例 Fig 5a4(a)S3)を入力し Enter で確定。以降このフィールドは変更できません。
  2. Caption: 図の説明(論文 Figure caption)をコピー貼り付け。
    • 使えない文字: < > " ' & の 5 つ。
    • 特殊文字 Ωµ はそのまま登録不可 → アルファベット表記ommegamu など)に置き換える。
  3. Sample name: プロットの凡例と一致する名称(例 y=10%1h BM-SPS)を入力し Enter で確定。
  4. Composition: 化学組成式(例 Mg3Bi0.33Bi2Te2.85Se0.15)。
  5. Property(x), Property(y): ドロップダウンから物性を選択。Recommended(領域標準)と All(全候補)をラジオで切替。
  6. Unit(x), Unit(y): 単位を SI ベース+接頭辞・指数(例 10^0 × °C10^0 × VK^-1)で指定。
注意: Property / Unit は領域別 Project(ThermoelectricMaterials など)のテンプレートに従うのが安全です。GeneralDB では候補が広く出るため、解析のしやすさを考えると領域別 DB での登録を推奨します。

3.5 StarryDigitizer による曲線抽出

Data ページの右側パネル(または論文ページの専用タブ)から StarryDigitizer を起動します。タブには WebPlotDigitizerStarryDigitizer の 2 つがあり、本マニュアルでは新しい StarryDigitizer の手順を扱います。

抽出対象の元プロット例 (S vs T, y=10%-42%)
図 3-2: 抽出対象の元プロット例(論文 Fig 5a, S vs T, y=10%/20%/28%/38%/40%/42% の 6 系列)。事前に PDF や HTML からスクリーンショットを取る(Mac: cmd+shift+4 / Win: win+shift+s)。
本章のデモに使用した論文:
F. Garmroudi, M. Parzer, A. Riss, N. Reumann, B. Hinterleitner, K. Tobita, Y. Katsura, K. Kimura, T. Mori, E. Bauer, Solubility limit and annealing effects on the microstructure & thermoelectric properties of Fe2V1−xTaxAl1−ySiy Heusler compounds, Acta Materialia 212 (2021) 116867. DOI: 10.1016/j.actamat.2021.116867
StarryDigitizer 起動直後
図 3-3: StarryDigitizer 起動画面。左上の Choose an image から画像を貼り付け or ファイル選択して読み込む。XY Axes List に XY Axes 1 が自動作成される。

3.5.1 軸の校正(Set Axes)

  1. 左サイドバーの x1 / x2 / y1 / y2 入力欄に、プロット上の既知 2 点ずつの座標値を入力(例: x1=30, x2=90, y1=-60, y2=120)。
  2. 対数軸の場合は Log チェックを ON。
  3. Calibration mode で 2 Points / 4 Points を選び、Show axis marker を ON にしておくと位置確認しやすい。
  4. プロット上で対応する位置をクリックし、「SET AXES」を押して校正完了。やり直したい場合は「CLEAR XY AXES」。

3.5.2 Dataset の作成

  1. 左サイドバーの Datasets セクションで「+」を押して、サンプル数だけ Dataset を追加(例: 6 試料なら dataset 1〜6)。
  2. 各 Dataset を選択した状態で、右側 Color パレットから対応する系列の色を選ぶ(凡例の色と一致させる)。

3.5.3 データ点の抽出

右側パネルの Automatic Extraction セクションで自動抽出するのが基本です。

  1. Algorithm: Line Extract(線図用)または Averaging Window(散布図用)を選ぶ。
  2. ΔX / ΔY: 抽出間隔(px)を指定。点が密な場合は値を小さく、疎な場合は大きく。
  3. Selection AreaPEN / BOX で抽出範囲を絞り、「RUN」を押すと点が自動検出される。
  4. 不要な点は ERASER、全消しは CLEARManual ExtractionADD (A) / EDIT (E) / DELETE (D) で個別に追加・修正も可能。
  5. 抽出した点は左下の X / Y テーブルに即時反映される。
StarryDigitizer で軸校正と抽出済の状態
図 3-4: 校正済プロット上に抽出された点群。Color パレットで系列ごとに色を切り替えながら、6 つの Dataset 各々に対して RUN → 抽出 → 確認を繰り返す。

3.5.4 クリップボードへコピー

左下の「COPY TO CLIPBOARD」ボタンで、選択中 Dataset の (X, Y) ペアをタブ区切りでクリップボードにコピーします。

3.6 XY-value への貼り付けと Save

  1. Data ページに戻り、対象の Sample 行で Edit モードを ON。
  2. 中央の XY-value エリアにフォーカスし、Ctrl/Cmd + V で貼り付け。右側のプロットに即座に反映され、元論文の図と比較できます。
  3. すべての必須フィールド(Figure name / Sample name / Composition / Property / Unit)が埋まっていることを確認。
  4. Save」を押して登録完了。Figures / Samples テーブルに新しい行が追加されます。
編集フォームと XY-value、可視化プロット、Save ボタン
図 3-5: 編集モードのフォーム。Caption に図説明、Composition に組成、Property(x)/(y) に物性、Unit(x)/(y) に単位を入れ、Measurement conditions(Temperature / Pressure / Other / Magnetic Field / Orientation)を必要に応じて記入。右のプロットで論文の図と一致するかを確認してから Save。
SI 単位への自動換算: Save 時にすべての値が SI 単位(K, V/K など)に自動変換されます。直後に一時的に表示スケールが乱れて見えることがありますが、ページを再読み込みすれば正しいスケールで表示されます。

3.7 既存データの編集

他のユーザーが登録したデータも、誤りがあれば誰でも編集・修正できます。これは Starrydata2 の協調的データキュレーションの核心です。

  1. 編集したい Sample 行をクリックして編集フォームに読み込む。
  2. 右上の Edit トグルを ON にして変更(XY-value のやり直し、組成式の修正、不正な点の削除など)。
  3. 「Save」で確定。Editors テーブルにあなたの Username が追記されます。

3.8 登録時のベストプラクティス

  • Figure name は論文の表記に厳密に従う(例 Fig 5a4(a)S3)。
  • Sample name は論文中の凡例そのまま使う(例 y=10%1h BM-SPS)。後で組成式から復元できなくなる事故を防げる。
  • 同じ図でも x 軸の物理量が違うカーブ(温度依存性とキャリア濃度依存性など)は別 Figure として登録
  • 使えない文字 < > " ' &Ω µ 等の特殊文字に注意(→ ommega / mu)。
  • 1 ヶ月以上アクティブに curation する場合は、Starrydata チームへ参加表明すると質問チャネルを案内されます(Contact から問い合わせ)。

次のステップ

参考